第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山 3階)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ 7階)
家具職人の悠と翔は、双子の兄弟だ。オリジナルの椅子で評価された兄の悠は、地方に工房を構え、成功の道を歩んでいた。だが、そんな悠の影に隠れて生きる弟の翔は、鬱屈した感情を抱かずにはいられなかった。ある夜、翔は悠を手にかけてしまう。そして、翔は悠になりすまし、兄の地位を手に入れる。誰もが翔を悠だと信じて疑わなかった。悠の恋人・芙蓉美が工房を訪れるまでは……。
家具職人は椅子作りを目指すという話を聞きました。紀元前まで歴史を遡ることのできる椅子は、すでに形が定まった物。独自性を発揮した椅子が完成したあかつきには、それが職人の代名詞となるそうです。椅子は人が座るための家具ですが、同時に象徴や権力といった言葉としての意味も合わせ持っています。この椅子の言葉と物の関係性に触発され、本作を制作しました。
1987年生まれ、京都府出身。ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。映画監督・小谷忠典に師事し、ドキュメンタリー映画のスタッフとして活動。現在は関西を拠点にインディペンデント映画の脚本を多数執筆。主な脚本作品に、共同脚本で参加した小沢まゆ主演・プロデュース、小谷忠典監督『夜のスカート』、本作と同じく保坂直希を主演に迎えた岸本景子監督『家族の肖像』などがある。
福岡市在住のタレント山口彩は、仕事で釣り船から転倒し、折れた腰骨のリハビリ中である。現状を良かれと、友人であり自身の住むマンションの管理人である田所勇と毎日釣りをして、ラーメンを食べて酒を飲んで帰る自堕落な生活をしている。田所も家賃収入で生活が何とかなるため、だらだら生きている。彩、田所の2人は行き場のない「暇人」になっている。ある日、彩のもとにマネージャーの田中文男がやってきて、舞台の仕事の依頼をしてくる。
各登場人物を通じて、間接的な、伝わっているのか伝わってないのかよくわからないような「愛」がちりばめられているつもりの作品です。それに通ずる何かしらの、気分とか雰囲気を拾っていただけたら幸いです!
1992年生まれ、愛知県春日井市出身。2015年大阪芸術大学卒業制作作品『お歳暮のハムのひも』にて、TAMA NEW WAVE入選、福岡インディペンデント映画祭コメディ賞、沖縄国際映画祭U-25準グランプリなどを経て沖縄国際映画祭の助成金にて『背広をぬいでみる』を監督。後にヒューマントラストシネマ渋谷にて1日上映される。そのほかに、鳥取県気高町の地域映画『はだかのおじさん』が大阪アジアン映画祭にて上映、賢島映画祭グランプリなど。現在はフリーで色々やっている。
美園はよく道で振り返る、誰かに呼ばれた気がして。ある時、青葉が美園を海へ連れ出すと、以来美園は「水の声が聞こえる」ようになる。その声が美園にある記憶を呼び起こす。
「他者を真剣に受け取る」というある人類学者の言葉に感銘を受けて作られた作品です。理解困難な他者の視点を真剣に受け取り採用してみると、これまで常に一つの視点からしか物が語られてこなかったのだと思い至る。世界は多様なパースペクティヴ(視点)が重なり合ってできており、それ故、矛盾もあれば見えないものもある。そのような世界の「わからなさ」に触れていただけたらと思う。
1987年生まれ、千葉県出身。これまで短編・中編映画を中心に制作し、数々の映画祭で受賞・入選を果たす。初長編監督作品『アイニ向カッテ』は全国劇場公開された。パースペクティヴィズムという考え方に基づき多様なパースペクティブ(視点)を真剣に受け取りそこから世界を描き直すことで、幻想的な世界観や新しい物語を目指している。
30歳が迫っている売れない役者、江田丈。オーディションを受け、荷上げのバイトで稼ぎ、仲間と酒を飲み、それなりに充実した毎日を送っていた。何に対しても、ただただまっすぐ突き進んできた丈だったが、年齢を重ねるにつれ、周囲とすれ違い、衝突することが多くなる。理想と現実の狭間で、愛する人たちを失いそうになった丈は……。夢を追うすべての人へ送る、若者たちの物語。
夢と現実の狭間で、格好悪くても進んでいく主人公の生き様が、観た人の心に寄り添ったり、共に戦ってくれるような存在になれば嬉しいです。
1999年生まれ、神奈川県出身。2005年から子役として、芝居を始める。大学では、子ども教育を学び、小学校教諭などの資格を取得。俳優を続けながら監督を始め、『最悪は友達さ』『まあるくなあれ』を制作。今作品が初長編作品となる。