第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
パルテノン多摩 2階 総合案内窓口(パルテノン多摩が会場の【B-1】〜【B-7】チケットのみ取扱い)
夏、とある大学の、SF研究会の部室。SF研究を一切しない部員たちと、その奥の暗室に居をかまえる、カメラクラブのメンバーたち。そんな日常に、ふと見ると、部屋の片隅に見慣れぬ物体。「これってタイムマシンじゃん!」どうやらそれは本物。興奮する一同。
先発隊に選ばれた3人は早速タイムマシンに乗り込み、昨日へと向かうが……。
本作は2001年初演、2003年の再演を経て2005年に本広克行監督により映画化されたヨーロッパ企画初期の代表作を13年ぶりに再演した舞台映像。初演から17年経っていますが、役者の皆さんの多くが初演と同じ役を演じており、演技はもはや熟達の域。舞台ならではわちゃわちゃ感がとても楽しい作品です。
ストーリーは脚本の上田誠氏が得意とする「時間SF」で、壊れたエアコンのリモコンを昨日から持って来るという目的のために今日と昨日をひたすらタイムマシンで行ったり来たりするというバカバカしいまでの時間の無駄遣いが繰り広げられます。「時間SFはわかりにくい」と苦手意識がある人も、きっと「これが○○人?」とか「このタイムマシンどこかで……」など突っ込みを入れながら楽しめます。また、本作を見た後に映画版を観ることでより面白さが増幅すること間違いなし。もちろんその逆でも。
さて、サマーの終わりに本作を観てしみじみ思いました。登場人物たちと同様に時間をただただ浪費していた学生時代を思い出させてくれるこの映画こそが自分にとっての「タイムマシン」だなと(遠い目)。(TN)
舞台は、京都・貴船の老舗旅館。貴船川のほとりで佇んでいた仲居のミコト(藤谷)が仕事に戻るも、2分後にはなぜか再び貴船川のほとりにいる。旅館にいるもの皆が2分経つと繰り返し元にいたところに戻ってしまう。凛とした静寂を纏(まと)う冬の貴船と、2分のループという新たな時の牢獄から抜け出すべく必死な大人たちのギャップが楽しい、前人未到のタイムループコメディ。
冬の京都・貴船のみで起こる2分間のタイムループ。このかなり限定的で摩訶(まか)不思議な現象に直面した人々の言動の面白さはヨーロッパ企画の真骨頂! 戸惑いながらも受け入れる人、解明しようとする人、混乱したままの人、遊んじゃう人、とどまりたい人。わいわいがやがやしながらも少しずつ解決に向かっていく。そんなドタバタ劇と並行して旅館仲居のミコトの揺れ動く複雑な想いのドラマもみどころ。最後にすべてを受け入れて未来へ進もうとするミコトの表情がとても良い。それを、くるりの奏でる主題歌「Smile」が優しく包みこむ。♪ここに生きていることが懐かしい。
たった2分間のループが繰り返される。それもきっちり本当の2分間。ということは、観ているこちらも同じようにこのループを体験できる。これ何回目? あぁもうすぐ2分経ってしまう! 初期位置に戻ってしまう! 次の2分には何ができる? 何をしちゃう?……と焦ったり楽しんだりめんどくさいと思ったり。こんな経験なかなかない!(iku)
1979年生まれ、京都府出身。ヨーロッパ企画代表で、すべての本公演の脚本・演出を担当。2017年に舞台「来てけつかるべき新世界」で第61回岸田國士戯曲賞受賞。近年の主な映画参加作として、原案・脚本の『ドロステのはてで僕ら』、脚本の『前田建設ファンタジー営業部』(いずれも20年)、原案・脚本の『四畳半タイムマシンブルース』(22年)、日本語吹き替え版脚本の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23年)などがある。
1987年生まれ、大阪府出身。2005年にヨーロッパ企画に参加。映画やドラマ、CM、ドキュメンタリーなど、映像コンテンツの演出・撮影・編集まですべて行うオールインワンタイプのディレクターとして幅広く活躍。『ドロステのはてで僕ら』(20年)は多数の海外映画祭で各賞を受賞し、多くの国で配給された。その他の監督作に、『たぶん杉沢村』(23年)、クリープハイプのMV「イト」や連続ドラマ「あいつが上手で下手が僕で」「時をかけるな、恋人たち」などがある。
1995年生まれ、京都府出身。幼少期よりバレエを学び、英国ロイヤルバレエなどに短期留学。2016年にヨーロッパ企画「来てけつかるべき新世界」に出演。俳優として舞台、映像を問わず活躍中。21年よりヨーロッパ企画に入団。近年の出演作品に、舞台「切り裂かないけど攫いはするジャック」「たぶんこれ銀河鉄道の夜」「もはやしずか」、ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」「カンパニー~逆転のスワン~」、TV番組「ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン」(声の出演)などがある。
1979年生まれ、愛媛県出身。99年第2回公演よりヨーロッパ企画に参加。外部の舞台や映像作品にも数多く出演するほか、TV番組「ヨーロッパ企画の暗い旅」ではメインMCを務め、FM番組「こちらヨーロッパ企画福岡支部」ではパーソナリティを担当。近年の主な出演作品に、映画『I AM JAM ピザの惑星危機一髪』、舞台「切り裂かないけど攫いはするジャック」「たぶんこれ銀河鉄道の夜」、TVドラマ「時をかけるな、恋人たち」「かっこいいスキヤキ」、TV番組「所さんの目がテン!」などがある。