第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM
PassMarket【一般、子ども(4歳~小学生)】
PassMarket【支援会員、障がい者・付添者】
多摩市立永山公民館(ベルブ永山 3階)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ 7階)
ベルリン、サンダンス映画祭などで多くの賞を受賞したD・スミス監督デビュー作。アトランタとニューヨークでセックスワーカーとして働く4人の黒人トランスジェンダーたちが長い間避けてきた問題に立ち向かいながら、人種とセクシャリティーの二軸によってコミュニティ内外に蔓延する差別を、皮肉を交えて赤裸々に暴く。本作に登場するココ・ダ・ドール(本名ラシーダ・ウィリアムズ)は今年4月に銃殺されるという悲劇に見舞われた。
D・スミス監督は、リル・ウェイン、シアラ、ケンドリック・ラマーらを手がけ、グラミー賞にノミネートされたプロデューサーだった。しかし2014年にカミングアウトした後、音楽業界から追放され一時期ホームレスにもなっていた。そんな経験があるからこそ、トランスジェンダーたちに寄り添う撮影が出来て、彼女たちの人間味溢れた、ありのままの美しい日常を映せたのであろう。
インタビュー形式のシンプルな構造でありながら、音楽業界に長年携わってきて培われたと思われるD・スミスの明確で独特なリズム感が、魔法のような編集で創造的自由を爆発させ、フレームに刻み込まれ、鮮明なハイコントラストのモノクロ撮影を通して脈打つ。
黒人トランスジェンダー女性へのヘイトクライムは年々急激に増加しており、常に死と隣り合わせの不安定さがあるなか、女性であることの喜びや彼女たちの強い生きざまと言葉に感銘を受けた。(飯絢)
1963年生まれの音楽家/文筆家/大学講師。音楽家としてはソングライティング/アレンジ/バンドリーダー/プロデュースをこなすサキソフォン奏者/シンガー/キーボーディスト/ラッパーであり、文筆家としてはエッセイスト&批評家であり、映画やテレビの劇伴も多い。「菊地成孔とペペトルメントアスカラール」「ラディカルな意志のスタイルズ」「菊地成孔クインテット」リーダー。2021年、自らの生徒と共に、ギルド「新音楽制作工房」を立ち上げ、2023年には映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の劇伴を担当。
思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。文学ムック「ことばと」(書肆侃侃房)編集長。長年に亘り芸術分野の複数の分野で活動している。著者多数。映画論の著作として『映画よさようなら』『この映画を視ているのは誰か?』『ゴダール原論』『反=恋愛映画論(児玉美月との共著)』など。
ヒップホップ・カルチャーを中心にアメリカの世相、音楽、映像作品について解説記事執筆と翻訳、歌詞の対訳を手がける。著書『ニューヨーク・フーディー』、翻訳『カニエ・ウェスト論』など。Twitter:@minakodiwriter Note:https://note.com/minako_ikeshiro Voicy:『池城美菜子のワーディーズ・ワールド』