第31回映画祭TAMA CINEMA FORUM
アタシ、ハダシ(伊藤)。時代劇が大好きな高校生。でも、所属する映画部ではキラキラ恋愛映画ばかりでアタシの好きな時代劇は作れない。そんなとき出会ったアタシの時代劇にぴったりの青年、凛太郎(金子)。よおし、この夏の間、みんなの青春をもらって映画を作るぞ!――きみのひと夏に贈るサマーフィルム。
今年の6月に脚本の三浦氏主宰の劇団ロロの「いつ高」シリーズファイナルを鑑賞した際に『サマーフィルムにのって』のチラシをもらった。夏になり映画を観た時の印象は映画も舞台と同様に、高校生活の光輝く瞬間をとらえたステキな作品であったということだ。
主人公のハダシは時代劇が好き。一方、最初はイヤな印象のキラキラ映画の監督、花鈴(甲田)もまた、実は映画が大好き。だからこそ二人が分かりあってゆく過程、特に部室での編集シーンは心打たれた。
そして、文化祭。結局、ハダシの映画は最後まで上映されずにまるで舞台のようにリアルな形でエンディングをみせる。まさに映画と演劇がリンクした瞬間!
登場人物は皆好演。特に部室でハダシ組とキラキラ組の男女が仲良くなり、そして仲違いするけどまた仲良くなるというサブストーリーはすごく良かった。
愛しさと、切なさと、ほろ苦さと。決して甘くないけど、この作品には映画と舞台への愛が詰まっている。(よ)
1988年生まれ、埼玉県出身。CM、MV、ドラマなどを手掛ける映像監督。2021年『サマーフィルムにのって』で長編デビュー。21年はWEBドラマの劇場版である映画『青葉家のテーブル』も公開された。主な作品はドラマ「お耳に合いましたら。」(21年)、江本祐介「ライトブルー」MV(17年)など。
2000年生まれ、大阪府出身。映画『堀川中立売』(09年)でデビュー。その後第14回TAMA NEW WAVE グランプリ受賞作品『Dressing Up』(13年)で初主演を果たす。以降『ハッピーアワー』(15年)や『脱脱脱脱17』(16年)、主演を務めた『左様なら』(18年)、『アイネクライネナハトムジーク』『楽園』(いずれも19年)、ヒロインを務めた『ファンファーレが鳴り響く』(20年)などに出演。『サマーフィルムにのって』ではハダシの友人ブルーハワイを好演。