第31回映画祭TAMA CINEMA FORUM
私たちの社会に今足りないのは、対話ではないか。勝ち負けや対立ではなく、お互いに納得できる着地点を見つけること。そんな社会を作りたいという素朴な思いから始まったある市民運動が、茨城県で8万筆の賛同を集めた。東日本大震災を契機に一斉に運転を止めた原子力発電所だが、再稼働へと舵が切られようとしている。未来に、子供たちにどのような社会を残すべきか? 私たちは正しい答えを出せるのだろうか?
この映画はドキュメンタリーでもありますが、ひとつの物語でもあります。ぜひ登場人物たちと一緒に、この物語の旅に出かけてみてください。
1982年生まれ、茨城県出身。日本映画学校(現・日本映画大学)卒業。95歳になる実の祖母の幼少期と戦争体験を描いた短編ドキュメンタリー『祖母』が、仙台短篇映画祭2019「新しい才能に出会う」で上映される。『県民投票』は長編ドキュメンタリー第1作目となる。
動の究極の集合体、都会。都会が人間を動かし、人間が都会を動かす。そんな都会の暮らしにふと立ち止まり、そぞろ歩きにのめりこんでいくひとりの青年。止まったり、ゆらいだり、それぞれのリズムで時を刻む十二の場所を見つけ、自らが来た道を省み始める……。
ヘーゲル、ハイデガー、リルケ、そして仏教にインスパイアされた本作。「動く今」「動くここ」を、新鮮な目でとらえる。
この映画の制作は自然と導かれるような過程でした。フィクションとドキュメンタリーの枠を超えて、音と光で成り立つ詩のような作品になったと感じています。皆さんにとって、この映画の体験が自分のリズムや人生の道のりを感じたり、振り返ったりできる空間・時間になったら幸いです。撮影現場の日本では、たくさんの方にお世話になったため、日本で上映できることを嬉しく思います。
1982年生まれ、ドイツ出身。2000年に香港で国際バカロレア資格取得。奨学金プログラムや仕事でイギリス・フランス・日本にも滞在。12年~20年、バーベルスベルク映画大学・大学院で映画制作を学ぶ。前作『The Island』(18年、中編)が数々の国際映画祭に選出。本作『動く都会』が初長編監督作品。
2020年5月。コロナ禍の下、緊急事態宣言が敷かれた東京の街で、未曾有の事態に戸惑う若者たちの群像劇。人気が減った都会の中、車を走らせるマナブとルー。ルーは金を稼ぐために素人AVの撮影を行うことをマナブに打ち明ける。ルーはマナブから借りたビデオカメラを持って、撮影相手であるサクラと合流する。ルーはサクラと身の上話をしながら撮影を試みるが……。それぞれの人生が交錯する。そこに待ち受ける、彼らの運命とは? 隠すより現る、未曾有の現実。
昨年4月に緊急事態宣言が発令。制作中の映画が中断を余儀なくされ先の予定も立たずどう生きればいいかわからなくなっていた。そんななか、知人の俳優が生活のためバイトで生計を立てていたが「君たちみたいなのがいるからコロナが広がる。今は自粛と我慢が大事だ」と有名な監督に言われ呆然としていた。彼らに俳優として仕事をさせるのが自分のモチベーションになり、完成した作品が『未曾有』である。
1983年生まれ、京都府出身。森田芳光監督、滝田洋二郎監督、犬童一心監督、行定勲監督、樋口真嗣監督ら現代の日本映画界を代表する名監督たちの右腕として、時代劇からSFファンタジーまで幅広いジャンルで実績を積んできた。初長編監督作『アイムクレイジー』がインディーズ作品ながら、第22回プチョン国際映画祭にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞する。本作が長編2作品目となる。