第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM
雨の予報が直前に好天に変わった映画祭初日。朝9時にはパルテノン多摩の開場を待つ列が数百メートルになり、多摩中央公園まで延びていました。2作品の上映が終わり、授賞式が始まる頃には立ち見の方の姿も見えるなか、最優秀新進女優賞から授賞式がスタート。深川麻衣さんが「初めての映画、初めての主演で受賞できたことで忘れられない作品になりました」と胸を張れば、伊藤沙莉さんは「9歳からこの仕事を始めて15年間、正直楽しいことだけではありませんでした」と涙ぐみ、客席からの暖かな声援のなか今後に向けて前向きな抱負を述べられました。
最優秀新進男優賞では吉村界人さんは、「ぼくがこういう場に立つのは稀有な感じがして何か笑っちゃいますよね」と場内をなごませてくださり、吉沢亮さんは、「3年ぐらい前から映画を中心にやっていきたいとお願いしていて、そこで出会った共演者の方々のおかげと思っています」と感謝の意を述べられました。
最優秀新進監督賞の三宅唱監督は「函館のシネマアイリスさんという小さな映画館が企画し、それを映画祭で評価いただけることは、『きみの鳥はうたえる』という言葉を実践していると捉えています」と語り、今泉力哉監督は「TAMA NEW WAVEでは第10回でグランプリを頂き、またTAMA映画賞でも節目の回に戻ってこられて嬉しい」と語り、受賞作『パンとバスと2度目のハツコイ』で同じく受賞された深川麻衣さん、伊藤沙莉さんと喜びを分かち合っていました。
最優秀女優賞では、安藤サクラさんが「産後間もない私を信代という役に是枝監督にすりあわせていただいてできた役だと思っています」とビデオメッセージで語られ、続いて松岡茉優さんが「安藤サクラさんの演技をみて追いつきたい、追い越したいと思えたことが、(女優として)一番の進歩だと思っています」と心境を語られました。
最優秀男優賞では、松坂桃李さんが「TAMA映画賞は10回目とのことですが僕も演技をはじめて10周年なのでご縁があるなと思いました。10年間支えてくれたスタッフに感謝しているので、その恩を1本1本の作品で返していきたいと思っています」と抱負を語られました。
特別賞は、『カメラを止めるな!』で受賞された市橋浩治プロデューサーと出演者10名が登壇され、上田慎一郎監督のビデオメッセージに続いて今後の抱負を語られました。『モリのいる場所』で受賞された沖田修一監督と山﨑努さんが登壇され、山﨑さんが「ここに樹木希林が居ればよかったが……」とおっしゃられたのが心に残りました。
最優秀作品賞では、『寝ても覚めても』の濱口竜介監督の代理の福嶋更一郎プロデューサーが、カンヌ映画祭など海外での反響の大きさを語られ、おおとりの『万引き家族』の是枝裕和監督は、カトリーヌ・ドヌーブ主演映画をフランスで撮影中とのことで、ジャック・ドウミ監督のお墓の前で撮影したビデオメッセージを送ってくださりました。
2時間を超える授賞式でしたが、ご登壇者の誠意とお客様の醸し出す温かい会場の雰囲気で今年もいいセレモニーになりました。これを継続していけるよう映画祭運営を頑張っていきたいと思います。