第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM
日本映画界に新風を送り込む新しい才能の発見を目的として、2000年よりスタートした若手作家のコンペティションTAMA NEW WAVE。30分から100分の中・長編作品を対象としている本コンペティションですが、今年は全国から過去最多となる173作品の応募があり、実行委員による一次審査、二次審査を通過したノミネート5作品が選出されました。
コンペティションプログラムでは、ノミネート全5作品の上映と、それぞれの作品の監督はじめスタッフ・キャストによる舞台挨拶、また、ゲストコメンテーターに片桐はいりさんと菊地健雄監督をお迎えしてのトーク、最後に授賞式と、朝から晩までインディペンデント映画漬けの一日となりました。
そして注目の授賞式。最初の発表、観客投票で決定するベスト男優賞には『向こうの家』主演の望月歩さんが選出されました。受賞にあたって『向こうの家』の西川達郎監督からは、「普段はマイペースな一面もありながら、現場で自分の居場所をしっかり探し、芝居が始まるとキリッと演じてくれるとても頼もしい役者です」と、撮影当時を振り返って祝福のコメントを寄せていただきました。
続いて発表されたベスト女優賞は、『オーファンズ・ブルース』主演の村上由規乃さんが受賞されました。「個人賞の受賞は初めて。何度も観に来てくださった方もいて、嬉しかったです」と、本年度いくつもの映画祭で上映され注目を集めてきた本作での受賞について喜びのコメントをいただきました。
プロの視点から選出される特別賞は、ゲストコメンテーターの片桐はいりさんと菊地健雄監督によって『チョンティチャ』(福田芽衣監督作品)が選出されました。片桐はいりさんから「塊で来た。言いたいことがドンって来た」、菊地監督から「今の日本で本当に取るべき題材だと思った」と評された『チョンティチャ』の福田芽衣監督は、「お客さんに観ていただくことが映画の存在意義だと思っている。今回賞をいただくことで、自分がこの映画を撮ったんだという実感が湧いています」と受賞の喜びを語っていただきました。
そして、実行委員票とコンペティション当日の一般審査員票で決定するグランプリには、『カルチェ』(植木咲楽監督作品)が選ばれました。受賞された植木咲楽監督は大学の卒業制作として作られた本作の制作過程を振り返り「壇上にいる俳優と、たくさんのスタッフや仲間、たくさんの後輩たち、それぞれの家族の支えがあって撮ることができました。今すぐ色んな人に報告したいです」と、感謝の言葉で本年度のTAMA NEW WAVEコンペティションを締めくくってくださいました。
過去最多の応募があった今年のTAMA NEW WAVEですが、若い世代の監督の活躍が目立った年でも有りました。これからも新たな作家の登場に大いに注目して行きたいと思います。