第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM
11月23日(金)ベルブホール、第一部は「台湾映画 青春映画の系譜」と題して、台湾映画『あの頃、君を追いかけた』『藍色夏恋』の上映と「移動映画館」キノ・イグルー代表の有坂塁さんをお招きしてのトークを開催しました。
今回ゲストにお招きした有坂さんは、恵比寿ガーデンプレイスにて野外上映会「ピクニックシネマ」をプロデュースされ、世界中の作品をボーダレスにセレクションされています。今年の「ピクニックシネマ」では、台湾映画の中から『藍色夏恋』が、昨年は『台北の朝、僕は恋をする』が選ばれていました。作品の上映後の解説がとても素晴らしいので、今回トークのゲストとしてご登壇をして頂きました。
それでは、今回のトークレポートに移ります。「移動映画館」を主宰する有坂さんの視点から、台湾映画の大きな流れについて、そして今回の企画『あの頃、君を追いかけた』と『藍色夏恋』について語っていただきました。スピーディな展開でコメディ要素の強い『あの頃、君を追いかけた』とスローテンポの抒情的な『藍色夏恋』は、「台湾映画」「青春映画」と作品の要素は似ているにも関わらず、その語りのスタイルが異なり、お互いの作品の魅力を際立たせていて、作品の上映順も含めて理想的な流れで、知的な企画ですね、とお褒めの言葉を頂きました。そして、話題は、有坂さんがプロデュースされている野外上映について。上映途中に起きたアクシデントをなんとか復旧させたけれども、SNSを通じて、その場に居合わせたお客様が、そのこと自体を楽しんで思いもよらぬ結果になったこと。また「キノ・イグルー」という名前は、フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督から名付けて頂いたというエピソードを語って頂きました。アキ・カウリスマキ監督といえば、7月には特別上映会においてカウリスマキ監督の新作の『希望のかなた』を上映した関連もありましたので、映画を通じた縁を感じました。
その後、会場から頂いた質問に答えるという形で、お薦め映画について。台湾映画では、トム・リン監督『九月に降る風』、新作ではアニーシュ・チャガンティ監督『searchサーチ』、秋にお薦めの映画は、エリック・ロメール監督『恋の秋』をお薦め頂きました。ちなみに有坂さんは、個人面談で「あなたのために映画を選びます」ということもされていて、一人一人にあった映画をオーダーメイドでセレクションされています。映画祭の実行委員の中でも実際に面談を受けて作品を選んでもらった人がいます。
今回の上映とトークは、台湾映画初心者の方にも、ディープなファンの方にも満足頂けたものになったと思います。