第31回映画祭TAMA CINEMA FORUM
ニューヨークのブックフェアに参加したブックセラーズたちの本をめぐる想いやエピソード満載のドキュメンタリー映画『ブックセラーズ』を上映し、多摩地区で書店を営むゲストをお迎えしたトークショーを実施しました。
作品の上映が決定し、多摩地区で本にまつわるお仕事をされる方にお話を伺いたい、という概要が決まり、チームで「どのような方にお話しを伺うか?」オンラインミーティングやSNSでのやり取りを通じて企画検討を重ね、どのようなイベントにしようか?と話し合いました。映画好きという共通点はあるものの、どんな本が好きなのか、意外と知らなかった実行委員同士のやりとりにもワクワク。その結果、今回は、いわゆる独立系書店を多摩地区で営み、また作り手としても本と向き合い、編集、出版にも携わる、マルジナリア書店、よはく舎代表の小林えみさん、小鳥書房の落合加依子さんにお声がけさせていただくことになりました。
ゲスト決定後、改めておふたりのお店に遊びに行き、それぞれのお店にもチラシを設置していただいたり、マルジナリア書店さんでは映画賞関連本のコーナーを展開、小鳥書房さんでもイベントのご案内など多数ご協力いただきました。
幸運にも、ゲストのおふたりともに、幸運にも、お店の近所である多摩地区との交流を普段から楽しんでおられ、私たちのさまざまな活動にも積極的に一緒に取り組んでいただけたことは、結果的にではありますが、本プログラムにおいて当初目的としていた、「映画と親和性の高い"本"を通じて、地域の映画祭である私たちと本好きの方との長期的なコミュニケーションを図るきっかけとなる」というミッションに繋がったと思います。ゲストおふたりのお人柄とこれまで築かれた活動に基づく関係性に感謝申し上げるとともに、企画チーム一同、大変助けられました。
当日のトークでは、多摩地区で、どのような活動をされているのか、地域とどのようにコミュニケーションをとられているのかについてお伺いしながら、映画の感想、映画に登場するさまざまなブックセラーズ同様、本への愛に溢れたおふたりそれぞれの本との付き合い方をお話しいただいたのち、コロナ禍においてQ&Aが残念ながら叶わない現状を鑑み、実行委員から、おふたりに聞いてみたい質問を投げ掛けさせていただきました。観た後に実際の本、書店業界についてお話しを聞いてみたくなる映画であるにもかかわらず、Q&Aが実施できなかったことは、地域とのコミュニケーションを意識したこの企画にとっては残念なことではありましたが、実行委員自体が多摩地区と関わりが深かったり、映画を見て上映を熱望したこと、ゲスト選定に関わっていることから、おそらく当日映画を見たばかりのお客さまの聞きたかったこともカバーできる内容になったのかな、と自負しております。
顔見知りではありながら、これまで時間をとってお話しする機会がなかった、という小林さん、落合さんおふたりの息のあった掛け合いであっという間にトークは進み、紙の本、電子書籍に関わらず、本を読むこと、本が好きな人それぞれの本との付き合い方、手元に置いておく本への想い、基準、考えなどの、さまざまな本にまつわる楽しさと自由について想いを馳せる素敵な時間となりました。
映画『ブックセラーズ』では人の手からまた他の人の手へと本が巡り巡る出会いの楽しさにも言及していることから、会場では「ブクブク交換」と題した本の交換会も実施。ラッピングされた本に貼付された、手放した本人からのコメントだけを読んで、持ち帰る本を選ぶというスタイルにお客様も戸惑いながらも楽しんで参加されたかと思います。小林さん、落合さんにもご参加いただきました。
最後になりますが、本プログラム実施にあたり、ご登壇されたおふたりのご協力に感謝申し上げるとともに、チラシの設営や映画祭の公式Twitterでのご紹介にも、たくさんの古本市、書店さまにもご協力いただきましたことに心より御礼申し上げます。プログラムを通じて、本が大好きな実行委員も楽しみながら、改めて本と本屋が大好きだと痛感する日々でした。関わって下さった、ゲストおふたり、書店、古書店のみなさま、古本市スタッフのみなさま、配給のムヴィオラさま、実行委員、シネマ隊スタッフ、そしてなによりもご来場いただいたお客さまへ、本当にありがとうございました。これからもこれだけの熱い情熱を持った多くのブックセラーズ、本好きのみなさまがいる限り、本の世界はますます面白くなっていくと思っています。