第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
原田智(佐藤)と中学生の楓(伊東)の親娘は大阪の下町で暮らしていた。智は連続殺人犯・名無し(清水)を目撃したと楓に話した翌朝失踪する。その日から父を捜す楓は教師や警察が当てにならないことを悟り、自分の力で探しだそうとする。日雇い現場で父の名前を探し当てた楓だがそこにいたのは父ではない若い男だった。しかも指名手配の連続殺人犯・名無しとおぼしき男だった……。
3部構成でそれぞれの登場人物の視点が変わればそれぞれに見えてくる真相が変わり、探り探り一つ一つが明らかになっていくのだが最後まで展開が目まぐるしく変わる。
作品全体やシナリオの構成力、それぞれのキャストの演技の緊迫感、ラストまで苦しく切なくハラハラドキドキの2時間。
【さがす】というタイトルにもなっているテーマをもとに、さまざまな人たちの生(生きる・生きている)と死を見せられた。
これからの日本映画の新たなノワール・サスペンスを切り拓いていく作品に出会った。(明烏)
1981年生まれ、大阪府出身。2005年、花王(株)に入社。07年、アスミック・エース エンタテインメント(株)に入社。劇場営業・インシアター宣伝、(株)WOWOWへの出向、『TOO YOUNG TO DIE!~』(16年)などのアシスタントプロデューサーを経験後、プロデューサー業に従事。プロデュース作品は、テレビ東京「山田孝之の東京都北区赤羽」(15年)、『音量を上げろタコ!~』(18年)、『さがす』(22年)。最新作は、来年2月23日Netflix全世界配信&劇場公開の『ちひろさん』。
1981年生まれ、大阪府出身。高校卒業後、中村幻児監督主催の映像塾で学ぶ。テレビドラマの仕事などを経験したのち、韓国のポン・ジュノ監督や山下敦弘監督などの作品で助監督を務める。2019年公開の『岬の兄妹』で長編映画監督としてデビューを果たし、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭国内コンペティション長編部門優秀作品賞・観客賞、第41回ヨコハマ映画祭新人監督賞などを受賞した。『さがす』は長編映画の監督としては2作目。ほかに短編『そこにいた男』(20年)やテレビドラマ「さまよう刃」(21年)などがある。
1970年生まれ、兵庫県出身。映画評論家。デジタルハリウッド大学客員准教授。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。テレビ・映画の撮影現場を経て、映画専門の執筆業に転向。「そえまつ映画館」、「シン・ラジオ」、「映画館へ行こう!」などテレビ・ラジオ・ネット配信番組に出演中。「キネマ旬報」、「DVD&動画配信でーた」、劇場用パンフレットなどに多数寄稿。ゴールデン・グローブ賞の国際投票権を有し、キネマ旬報ベスト・テン選考委員、田辺・弁慶映画祭審査員などを務めている。日本映画ペンクラブ会員。共著「現代映画用語辞典」(キネマ旬報社)ほか。