第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
パルテノン多摩 総合窓口(【B-1】~【B-8】のみお取扱い)
とある無人島で暮らす2人の男と1人の女。宗教的な団体に所属する彼らは、俗世の汚れを浄化して安住の地を目指すための修行としてメールで送られてくるさまざまな指令を実行しながら、時折届くわずかな食料でギリギリの生活を送っていた。そんな彼らの日常はほんの些細な問題から綻びを見せはじめ、互いの本能と欲望が暴き出されていく―。
瞑想、夢の報告、テレパシー実験……“安住の地”を目指し、無人島で共同生活を送る3人の男女。彼らは「みんなのために頑張りましょう」を合言葉に、同じTシャツを着て、お互いのことを「議長」「副議長」「オペレーター」と呼び合う。その異様な生活を見て、彼らは自分とは違う“ヤバい”人たちだと思わざるを得ない。そして、メインの3人を演じた磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平の熱量のある演技によって、物語の“ヤバさ”は加速していく。しかし、一貫して真面目に信仰を続ける彼らを見ていると、形は違ってもこういう世界が実在するのではないかと思わされた。同じものを信じることしか繋がりがなかった彼らが、決して豊かとは言えない無人島で極限を迎えた時、人間の本能と欲望が露わになっていく様は、笑ってしまうほど可笑しくもあり、身につまされるようでもあった。(水)
1992年生まれ、静岡県出身。高校時代から地元の劇団に出演し、その後は小劇場を中心に活動した。テレビドラマ「仮面ライダーゴースト」(2015年)、連続テレビ小説「ひよっこ」(17年)、「今日から俺は!!」(18年)、『サ道』シリーズ(19年〜21年)などに出演。『ヤクザと家族 The Family』『劇場版 きのう何食べた?』(いずれも21年)で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『前科者』『PLAN 75』『ビリーバーズ』『さかなのこ』『異動辞令は音楽隊!』『カメの甲羅はあばら骨』(いずれも22年)など、出演作の公開が続く。
映画評論・映画パーソナリティ・心理カウンセラー。邦画、洋画問わず年間500本以上の映画を鑑賞。映画舞台挨拶や完成披露会見などのMCを数多く担当し、心理学的な視点からも映画を解説・評論。「ぴあ」、web「GLOW」(宝島社)ほかでの映画評連載や、YouTube「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」での俳優対談番組、「めざましテレビ」「ひるおび」での映画コーナーなど、幅広いメディアで映画を紹介。著書に「2分で距離を縮める魔法の話術 人に好かれる秘密のテク」(ワニブックス)。