第30回映画祭TAMA CINEMA FORUM
高校教師・金本は顧問である国際交流部の部員を連れて、茨城にある日系ブラジル人学校に訪問することを決める。一方、ブラジル人学校では日本の高校に転入したはずのアマンダがイジメに遭い、戻ってきてしまう。度重なる日本人からの差別やイジメに耐えかねたブラジル人生徒たちは怒りを持って金本たちを迎えることになる。
日本では関心が薄いと思われる移民問題を扱った私たちの作品を、この度上映していただけるとのことで大変嬉しく存じます。日本の未来を背負って立つ彼ら、彼女らが置かれた立場や境遇を、作品を観て知っていただけると作り手としてこの上ない喜びです。
1970年生まれ、東京都出身。カルフォルニア州De Anza大学中退後、独学で映像技術を修める。2018年制作の『Get On』がカルフォルニアの3-Minute Film Festivalに入選。
郊外の住宅地、その一角にある上埜家。さくらは母親と二人で暮らしている。仕事を辞めたさくらは、友人の頼みから保育園で一時的に働くことに。そこで園児の父親である新藤と出会う。やがて彼に、幼い頃から離れて暮らす父の姿を重ねるようになるさくら。ある晩、新藤家で夕飯を作ることになった彼女は、かつての父親に関する“ある記憶”を思い出す。一方、古くなった上埜家を処分することに決めた母。桜舞う春、父が帰ってくる──。
画に映らないものこそ凶暴で、それでもかだからか映画を選んでしまう。たとえば匂い。あなたのこと今は何ともないけれど、その訪れでちゃんと絶望できる自信はあります。
1995年生まれ、大分県出身。早稲田大学在学中に、映画制作を始める。3年次に監督した短編『よごと』(2017) が、第30回早稲田映画まつりで役者賞を受賞、ほか第7回カ・フォスカリ短編映画祭、第1回国際青年監督交流会などで上映される。現在、映画会社に勤務。
過去を遠ざけるように眠り続けてしまう主人公〈まりの〉は、毎日どうにか“床ずれ”の痛みに耐えながら喫茶店のアルバイトへ通っている。ある日、喫茶店の常連〈まもる〉が布団販売員であることを知り、新しい布団を買いに出かけることで日常は一変! 昔の親友〈みのり〉と再会するも、話が噛み合わない。会わないでいた空白の時間、まりのに一体何が……? 砂場に埋めていたモノとは……?
みなさんは睡眠、足りていますか? 私はよく寝過ぎちゃいます! 布団との触れ合いも、眠るまでの空白に近い時間も、起きた瞬間に用事を思い出すそのそつなさも、とても気持ち良いものです。でも睡眠中の記憶って無いですよね。曖昧な時間といいますか。私は白黒ハッキリ生きようとしてしまうから、せめて映画ではその曖昧な時間を大切にしたい! 睡眠中のような映画になれたらと思っています。
1989年生まれ、広島県出身。多摩美術大学版画科卒業。ミニシアターで働き、映画上映する場所に関わりながら、仲間を見つけて映画を制作!(2016年 短編『オとセとロ』)イラストレーターとしても活動。書籍「ワールドシネマ入門」の装丁画/挿絵を担当。映画にまつわるwebマガジン「Filmground」主宰。エッセイやイラストで、映画と生活が繋がる瞬間を描いている。
就職活動にいきづまっていた女子大生が「たまらん」という父親の口癖を思い出し、たまたま「たまらん坂」という小説と出会います。読みふける彼女の身体を通して交錯する都会と田園。黙読と音読、作者と読者、事実と想像、過去の記憶と進行中の現在。上り下りする線路と坂道、高層ビルと林道、ペットボトルの水と蛍が生息する川、バイオリン曲と子守唄。彼女は何を獲得するのでしょうか。
本作の特徴は、私が務めている大学の文学部の授業から製作がはじまったことです。小説世界と主人公の記憶をゆるやかにシンクロさせながら、「読む」という行為の映像化を目指した文学映画になっています。主人公が「読む」ことを通し、故郷を探すのではなく創り上げていく姿に注目していただければ幸いです。
1977年生まれ、大阪府出身。ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業後、フィクションやドキュメンタリーの境界にとらわれない意欲的な作品を製作している。釜山国際映画祭、マルセイユ国際映画祭など、これまで20カ国以上の国際映画祭に作品が選出。主な作品に『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』、『フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように』などがある。