第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【C-5】世界の巨匠・黒澤明 ―Vol.1―

11/26[火] ベルブホール

チケット料金

一般
当日のみ:800円

わが青春に悔なし

  • 1946年/東宝製作・配給/110分
  • 監督=黒澤明
  • 製作=松崎啓次
  • 脚本=久板栄二郎
  • 撮影=中井朝一
  • 美術=北川恵司
  • 音楽=服部正
  • 編集=後藤敏男
  • 出演=原節子、藤田進、大河内伝次郎、杉村春子、三好栄子、河野秋武、志村喬、深見泰三、清水将夫

ストーリー

昭和16年の東京。中国問題の権威として活躍する野毛(藤田)と社会人として自立した幸枝(原)は結ばれる。しかし、野毛は逮捕され、幸枝は参考人となってしまう。ファシズムの激しい時代の波に自分の信念を曲げず生きる女性・幸枝の姿を描く。

コメント

「これがはじめて僕にとっては作品のうえでものが言える写真だな。」 黒澤監督は本作をこう説明している。

映画は現在の姿を映す鏡で、映画は時代と対抗することができると僕は思っている。戦後、暗い日本にひとつの光。ファシズムの嵐に挑んだ社会主義者と自由主義者の鎮魂を描き、自我の確立を描く。時代の変化により新たな価値観や話題や問題が起こっている。この映画ではファシズムを通して「自我の尊重」を描いている。今、自我により苦しむ人、悩む人が少なからずいると思う。それでも負けない。逃げない。この映画はそう伝えようとしているのだと僕は思う。(凛)

酔いどれ天使

  • 1948年/東宝製作・配給/98分
  • 監督・脚本=黒澤明
  • 製作=本木荘二郎
  • 脚本=植草圭之助
  • 撮影=伊藤武夫
  • 美術=松山崇
  • 音楽=早坂文雄
  • 編集=河野秋和
  • 出演=志村喬、三船敏郎、山本礼三郎、木暮実千代、中北千枝子、千石規子、笠置シズ子、殿山泰司

ストーリー

男気のある貧乏医師・真田(志村)は、やくざの松永(三船)を手当てしたことがきっかけで彼が結核に冒されているのを知り、その治療を必死に試みる。しかし若く血気盛んな松永は素直になれず威勢を張るばかり。松永は闇市を取り仕切る確執のなかで急激に命を縮めていく。

コメント

黒澤明と三船敏郎が初めてのタッグを組んだ作品。戦後の闇市というあの時代にしかなかった環境が見事に切り抜かれて描かれていた。闇市で一生懸命暮らす人々、華やかに盛り上がる盛り場、その一歩裏に入った所の水たまりだらけの空き地、今では見られない光景が高度成長期以降の生まれの自分にはとても印象的だった。

『酔いどれ天使』というタイトルからどんな天使かと思っていたら志村喬が天使なのかとニンマリしてしまった。その主役の酔いどれ天使の志村喬に相対しギラギラした目で松永を演じきった三船敏郎がこの後に黒澤明監督とのコンビで数々の名作を生み出すと思うととても感慨深い作品だった。この後、『赤ひげ』も観たくなった。(青)

プログラム一覧

成田凌氏、今泉力哉監督、木村和平氏(写真家)
前田敦子氏、黒沢清監督
河村光庸プロデューサー 松崎健夫氏(映画評論家)※ビデオメッセージあり(シム・ウンギョン氏、藤井道人監督)
山戸結希監督、志磨遼平氏(ドレスコーズ)
横尾初喜監督、井浦新氏
鈴木卓爾監督、あがた森魚氏(ミュージシャン)、井浦新氏、大森元気氏
鈴木洋平監督、柳英里紗氏、杉原永純氏(元YCAMキュレーター、映画キュレーター、プロデューサー)
アンジャリ<八尋美樹>氏(インド楽しいこと案内人)
佐藤零郎監督、渥美喜子氏(gojo/映画ライター・シネ砦集団代表)
中原仁氏(音楽プロデューサー)
石井達也監督、根矢涼香氏、松崎健夫氏(映画評論家)
寺尾紗穂氏(音楽家・文筆家、「原発労働者」著者)
丸山昇一氏(脚本家)
杉田協士監督、宮崎大祐監督
団地団
坂本浩一監督、山本千尋氏
今泉力哉監督、北條誠人氏(ユーロスペース支配人)
長久允監督、奥山大史監督
宇賀那健一監督、山口明氏(デザイナー)