第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM
昭和30年代サラリーマンの憧れ大型団地を舞台に、6組の夫婦の事情と隣人との事情と思惑を「虚栄の罪」「覗きの罪」「己が罪」「やりくりの罪」「過淫の罪」「嫉妬の罪」「文明の罪」の七つの罪から描くオムニバス喜劇。中村夫婦(小林、司)は10数回の空室募集の末ようやく団地族入りし、舞い上がっていたが、隣人と同じものをマネして買ったと思われたくないと妻が言いだし……。多くの世帯が住む団地はさまざまなトラブルもカーストも存在するのだ……。
今年もTAMAに団地団参上。3度目になる今年は、千葉泰樹監督、筧正典監督の『団地 七つの大罪』35mmフィルム上映。団地団の精鋭が1部、2部に亘り昭和30年代の日本を、団地をバックボーンに語り尽くします。上映する『団地 七つの大罪』は『裸の重役』の千葉泰樹と『お姐ちゃん三代記』の筧正典が共同で監督したオムニバス喜劇です。
お話は下世話な小話が多く少々くだらなかったりもしますが、一話ずつ異なる夫婦が主人公となるので登場人物は多く、往年の東宝スター勢揃いな姿は圧巻です。何度も言うように少々下世話ですが……それもこれも「団地」というある程度閉塞的な世界では起こっちゃうかもしれない話をコミカルに描いています。また最近はあまり聞きませんが「女性の尻に敷かれる」という言葉を思い出すような作品でもあります。女性の翻弄させてしまう力を綺麗でキュートな女優陣で観ることができるのは贅沢この上なしです。
団地団の縦横無尽のトークの展開を今年も存分に味わってください。(葉)
2010年12月、新宿ロフトプラスワンのトークイベントで結成。メンバーがそれぞれの立場から、映画、マンガ、アニメなどに登場する団地について深く考察して大放談を繰り広げる。話題は団地の美観や構造に対する偏愛にとどまらず、団地登場作品の演出論から大衆文化論、果ては都市論や郊外論にまで飛び火。知恵熱必死の知的エンターテインメント集団。
フォトグラファー/ライター。1972年11月3日生まれ。「住宅都市整理公団」(団地マニアのための団体。2000年に設立。団員は2人)の総裁。10年に佐藤大、速水健朗とともに「団地団」を結成。主な著書に「団地の見究」「工場萌え」(共に東京書籍)「ジャンクション」(メディアファクトリー)、「ショッピングモールから考える――ユートピア・バックヤード・未来都市」(東浩紀との共著、幻冬舎新書)など。
19歳の頃、主に放送構成・作詞の分野でキャリアをスタートさせる。その後、ゲーム業界、音楽業界での活動を経て、現在はアニメーションの脚本執筆を中心に、さまざまなメディアでの企画、脚本などを手がけている。団地団発足時からのオリジナルメンバー。脚本代表作として「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」、「サムライチャンプルー」、「交響詩篇エウレカセブン」、「FREEDOM」、「スペース☆ダンディ」、「怪盗ジョーカー」、TVドラマ「ノーコン・キッド ぼくらのゲーム史」など。
ライター・編集者。ラーメンからショッピングモールまであれこれ執筆。たまにテレビやラジオのコメンテイターなどもやってます。主な著書に「ラーメンと愛国」「バンド臨終図巻」など。愛車は黄色の日産マーチ・カブリオレ。
編集者・ライター。1974年生まれ。映画配給会社ギャガ・コミュニケーションズ(現・ギャガ)、およびキネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て、2013年よりフリーランス。著書に「セーラームーン世代の社会論」(すばる舎リンケージ)、「ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代」(PLANETS)、「ぼくたちの離婚」(角川新書)がある。団地団との出会いは、キネマ旬報社の社員だった11年。トークイベントの第2回に足を運んだその日に書籍化をもちかけ、編集担当として「団地団 ~ベランダから見渡す映画論~」を制作、12年にキネマ旬報社より刊行した。当初は裏方だったが、フリーランスになったのを機に正式メンバーに昇格、登壇するようになる。
二人組漫画家“うめ”の作画・演出担当。2001年「ちゃぶだい」で第39回ちばてつや賞一般部門ちばてつや大賞を受賞。代表作「大東京トイボックス」は、マンガ大賞2012第2位、文化庁メディア芸術賞2013審査員推薦作、14年テレビドラマ化もされた。現在は、eスポーツをテーマにした「東京トイボクシーズ」、育児エッセイ「ニブンノイクジ」などを連載中。団地出身、団地育ち、団地から団地への引越しも経験している“団地エリート”。15年には、団地好き人妻ユニット「団地妻」を結成。16年「団地団」へ入団。
1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。 2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、 2012年「ここは退屈迎えに来て」でデビュー。 主な著書に「アズミ・ハルコは行方不明」「あのこは貴族」 「メガネと放蕩娘」 など。 最新刊は短編小説&エッセイ集「あたしたちよくやってる」。