第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
本年度TAMA映画賞最優秀新進監督賞を受賞した2作品の上映に両作品の主演女優がかけつけるとあって、本プログラムには早くからたくさんのお客様が足を運んでくださいました。
トークは2部構成で、まずは『ハローグッバイ』から。菊地監督は「初上映から約一年、瀬田監督と共に受賞し上映できることを嬉しく思います」と挨拶。映画美学校時代からの旧知の仲である瀬田監督に感想を伺うと「菊地監督がこんなに瑞々しい映画を撮るとは」と驚きを隠せない様子。
本作で女子高生たちの日常を鮮やかに切り取った秘訣について「監督は感性が女の子っぽいところがある」と久保田さん。萩原さんは「撮影前にたくさん話した。親にも話していないことも。そんなリアルが入っている」と語りました。菊地監督は「ラストシーンは2人から3回くらいダメ出しされた。携帯を投げ捨てるシーンがあったが女子高生にとって命だからあり得ない!と言われてやめたり」と2人の意見を取り入れたエピソードを披露。監督の柔軟性と、出演者たちと一緒に作っていく空気がこの映画に血を通わせたことをうかがわせました。
客席とのQ&Aコーナーで「坂や階段が多かったが大変だったシーンは?」との質問に萩原さん、久保田さんは撮影時とても暑く何度も走って汗だくになったこと、喧嘩のシーンは本気でぶつかり合ったことなどを挙げました。また監督から、坂や階段は2人の成長、出会いと別れを繰り返す本作のタイトルとも重なるイメージであったことが語られました。
最後にこの日DVD発売情報が解禁とのことで瀬田監督から「『ハローグッバイ』に言いたいことがある」とのナイスパスがあり仲の良さが伝わる和やかな告知タイムとなりました。
続いて『PARKS パークス』トークでは橋本愛さんが登場。映画のなかで「かわいらしくだらしない主人公・純」を演じたことを振り返ると、「橋本さんは神秘的で芯が強いイメージがあったが、何かのメイキングでフニャっとした印象がありそういう面も写したいと思った。ギターの経験もあって歌うことが好きなところも今回の役にぴったり」と瀬田監督。
現場の応援に行った菊地監督によると、瀬田監督は擬音語や抽象的な言葉が多いが、橋本さんはそれをしっかり受け止めて芝居で返していたとのこと。
歌うシーンについて橋本さんは「うまく歌うよりその時の純の気持ちをのせてキラキラした瞬間を形に残せれば」との思いだったと語りました。
公園でのロケについて話が及ぶと、移動は自転車のため擦れ違う人に二度見されたり、一般の人と並走することがあったりなど微笑ましいエピソードが多く撮影の雰囲気が伝わってきました。
Q&Aコーナーでアパートの撮影について聞かれると「ロケは全て井の頭公園周辺で行い、アパートも実際にある場所を加工して使っている。」と瀬田監督。最後に橋本さんが、いつまでも変わらずそこにある存在としての「公園」に対して今回様々な思いを巡らせたことを語りトークを締めくくりました。
「純」と重なるような表情豊かな橋本さんの魅力に溢れた楽しいひとときとなりました。