このプログラムは市民の方からの一通の電子メールで始まりました。今年の初め、市民の方から、「『森の学校』はとてもいい映画なので、ぜひ上映して欲しい」という電子メールを頂きました。早速、インターネットで「森の学校上映委員会」の連絡先を見つけて、電話をしてみました。西垣吉春監督が丁寧に応対頂き、すっかり意気投合し、上映の意思は強まったものの、映像素材が35mmフィルムということで、若干の不安を感じました。映画祭の企画書提出の時期が迫った頃、『森の学校』を観に行き、素晴らしい内容に惚れ込み、上映の意思を固めました。

映画祭での上映は決まったものの、20年前の映画に人が集まるのだろうかと不安が沸いて来ました。また、35mmフィルム上映の企画とあって、不安に不安が重なっていました。ところが前売券の販売が始まったとたんに猛ダッシュ、あっという間に損益分岐点を超え、一安心しました。しかし、そんなに人が集まって、35mmフィルムが映らなかったらどうしようと、悶々とした日々を続きました。映画祭の準備の日、1巻目と最後の巻で上映素材のチェックを行いました。無事にベルブホールのスクリーンに『森の学校』が映った時には一安心、ベルブホールの雰囲気にとても合っている様な気がして、この企画を進めて本当に良かったと実感しました。

プログラム当日、平日、月曜日にも関わらず、当日券を含めて170名のお客様にご来場頂きました。地元の多摩市は勿論のこと、多摩地域の各市、東京23区、神奈川県、さらには北関東、遠く富山県からもお越し頂きました。ベルブホールの階段席の前に補助席を出すほどの大盛況、会場は熱気に包まれました。最初はみなさんお待ちかねの『森の学校』、無事に上映が出来、アンケートでは「『森の学校』のフィルム上映、画面の大きさがちょうど良いせいか、映像がシネコンで観るより良かった」といった声も頂きました。

上映後には西垣吉春監督のトークショーを実施しました。アンケートでは「トークの司会の方、手作り感と温かみがあってよかったです」と微妙なお誉めの言葉を頂く進行となってしまいました。お客様の席を見ると、監督への応援メッセージの手作りのパネルをお持ちの方が何名かいらっしゃり、文字通り、手作り感満載のトークショーでした。映画の舞台の丹波篠山市のこと、そこで育った監督の子供時代、映画の世界に入られたきっかけから始まり、原作の「少年動物誌」の著者・河合雅雄氏のことから映画の内容や撮影時の苦労話と続き、東京でのトークショーは初めての監督から、お客様へ向けて、力が湧いてくる、笑顔で会場を後に出来るメッセージを贈って頂き、トークは終了となりました。アンケートでは「トークはとても温かく、ほっこりした気分で帰宅できそうです」という声も頂きました。トークの後のオフィシャルによる記念撮影の後、来場のみなさんのご要望で、監督を囲んで、会場のみなさんと記念撮影をしました。

トークが終わった後には監督のサイン会を実施しました。監督のお名前と監督が人生訓とされているお言葉を予め書いておいて頂いたパンフレットに、日付と宛書をされて、一言二言、来場者と交流をされていました。監督のお人柄によるものと思いますが、サイン会では想像を遥かに超える長蛇の列となり、サイン会だけでも1時間強のイベントとなりました。会場のベルブホール外の壁には、監督から特別にご提供頂いた『森の学校』のスチール写真の額も展示しましたが、写真を撮られる方や、写真と一緒にご自分の写真を撮られる方など、和やかな雰囲気にあふれたプログラムとなりました。

お越し頂いたお客様、『森の学校』の上映許可を頂き、会場にお越し頂いてトークショーや来場者のお相手をして頂いた西垣吉春監督、応援に駆けつけて頂いた「森の学校上映委員会」の方々、35mmフィルムを上映して頂いた鈴木映画のスタッフの方々、ベルブホールのスタッフの方々、映画祭全般にわたりサポート頂いた公民館の方々、平日のスタッフの人数が少ないなか、予想を超える長時間ご対応頂いた実行委員のみなさん、ありがとうございました。

リンク：

『森の学校』―映画公開20周年記念― | 第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM